私は雑兵

社内ニートが自律神経と戦っています。

【その他】東京は嫌いと言っていたけど、それは私が東京を嫌いにしていたことに気付いた

東京が嫌いだった。

 

うるさいし、人多いし、夜まで明るいし、電車が遅くまであるせいで残業時間は長いし、挨拶しても返ってこないし、ゴミだらけだし。

 

挙げたらきりがない『嫌いな東京像』はむくむくと大きくなる一方だった。

 

田舎から東京に出て、うつ病を患って帰ってきた芋娘は、ある日東京を嫌っていたのは私のせいだということに気付いた。

 

今日は東京の話。

 

【目次】

 

東京が嫌いだった

上述したとおり、私は東京が嫌いだった。

 

水もおいしくないし、山は遠いし、東京の人は冷たいし、物価は高い。

田舎から来た芋娘は、同郷の人間とゾロゾロつるんでは「東京より田舎がいい」と言っていた。

方言は誇りとなって、自らを守る甲冑となった。吐き出す言葉は東京に対する夢よりも、地元に対する懐かしさへと変わっていった。

 

小さいのに、人が多くて、めまぐるしい。そんな日本の首都で、私はなにを恐れていたというのだろうか。

 

気が付けば、私は東京が嫌いになっていた。

 

地元のCM

その後、地元に帰ってきたと同時に一人、東京から移住した人がいた。

彼女の恋人が、私の友人だった。その友人が「地元に帰る!」と宣言してしまったために、高校を卒業と同時に私の地元へやってきたのだ。

 

彼女は最初こそものの少なさや、土地の広さ、人の少なさに驚いていたようだが、やがて問題なく暮らすようになった。

 

あるとき、彼女と友人と私で、テレビを見ていた。テレビからは地元のCMが流れている。そのCMは地元愛を大きく取り上げたアニメーション形式のもの。東京にあこがれていた女性が就職難で結局地元の企業に就職するというストーリーだった。

そんななかで、女性の上司がこんなセリフを吐き出す。

 

「東京がお前に何をしてくれたというのだ?」

 

その台詞を聞いて、友人は「わかる!」と共感した。この友人も東京が嫌になって地元へ帰ってきた一人だからだ。

 

しかし、それと同時に東京から来た彼女が言った。

 

「東京を馬鹿にするな!」

 

地元の誇り

不思議な話だが、私は東京出身者について、郷土愛がないものだと勝手に思っていた。

それまで『東京 = 悪』という勝手なイメージから、また東京出身者がそばにいない状況から、そのように勘違いしていたのだ。

 

しかし、彼女の台詞で目が覚めた。

 

私は地元が好きだ。それは間違いない。しかし、それで東京を勝手に悪者にする権利は、だれにもないのだ。

 

そこには住む人がいて、そこに愛情を感じている人だって確かに存在するのに。私は地元を愛することが強すぎて東京を愛する人に敬意を表せなかった

 

きっと、東京が嫌いだったのではない。東京を嫌いになろうとしていたのだ。

そうやって東京嫌いの人が増えて、東京が嫌いな人同士で集まって、東京が嫌いであるというアイデンティティを形成していたのではないか。

 

私は、それ以降、東京をちゃんと見ようと思った。

まだ、好きにはなれないが、むかしほど嫌悪はない。

 

何事も、自分次第なのだ。