【仕事】ブラック企業から母親を無理やり退職させた話
私は4人家族だ。
父、母、姉、私の4人である。
そしてこの4人が4人ともブラック企業に勤めていたり、うつ病経験者だったり、不眠症経験者だったり、もうそういう星のもとにうまれてきたとしか思えない家族だったりする。
さて、今日は母の話。
周囲にブラック企業へ勤めている人がいて、それを引きはがした体験談である。
できればこういう状況に出会わないのが一番だが、出会った場合の参考にしてほしい。
【目次】
いわゆる家族経営の会社へ入社→パワハラ激化
母は、勉強熱心だった。
介護の資格をたくさんとり、ヘルパーからケアマネージャーへと転職した。
転職先は家族経営の小さな事務所。介護をやめたいと言っていた母へ知り合いが「どうしても忙しいらしいから手伝ってほしい」と話をし、仕方がなく入社した会社だった。
会社の社長は旦那、副社長は妻。そしてこの副社長は母のやることにいちいちお叱りを入れた。
事務所の掃除をすれば「勝手に掃除をするな」
社内ニート状態になれば「穀つぶし」(心が痛い)
仕事ないかたずねれば「自分で考えろ」
花に水を上げれば「ほかにやることがないのか」
そうしているうちに母は会社からおいだされた。
それは副社長が「あんたの顔など見たくない!勤務時間に事務所へくるな!」という命令があったからだ。
当時、困り果てた母は車を公園の傍へ駐車し、その中で読書をして過ごした。
しかし、近所の人がそのことを副社長に告げ、副社長はますます激怒。
「そんな珍しい車(そこらへんで見かける普通車なのだが)でウロウロするな!」
……え?どうしろと?
今、母からの話を思い出しながら書いているが理不尽極まりない内容である。
これがいわゆるパワハラというものだが、この当時、そんな言葉はなかったため私は「大の大人がいじめか!きたねえ!」と思っていた。
会社が原因でうつ病に→病院の処方ミスで入院
まあ、うつ病になるわな!!
副社長のパワハラに耐えていたが、母は苦しかった。
眠れぬ日々が続き、体調も悪化した。
そのことを副社長に相談するも「甘えだ!」と言われ、揚句「どこそこの病院に行け!」と言われた。
その病院は副社長の友人が院長であった。
院長に見てもらい薬を処方してもらい、母はその薬を飲むようになった。
しかし、今でも覚えている。その日の夜、私と姉がリビングで談笑していると、母がお菓子をもってやってきた。
「お菓子食べよう!お菓子!」
その時は、なにか変だな、とは感じながら核心が持てないでいた。
まあ、元気なんだろう。そう思いながら、お菓子を食べ、家族全員ねむりについた。
次の日の早朝、父の声で目を覚ました。電話をしている。その内容がうっすら聞こえた。
「妻が倒れまして……」
一気に意識が覚醒し、父親に話を聞いた。聞けば、朝起きたとき風呂場で倒れていたという。
原因は医者の薬の処方ミス。当時高校生だったので、どういう処方ミスだったのかはわからないが、兎にも角にも、母は入院することになってしまった。
見かねた私は情報収集→父親の背を叩き退職させる強行軍へ
中学校~高校時代にかけていじめを受けていた私は、母親の異常にこの時気が付いた。
何故、倒れることになったのか。その原因を母親は静かに話してくれた。
現在もそうだが、私の感情の中心は『正義感』と『憤り』である。この心に『母親がパワハラを受けている』という内容を混ぜるとどうなるか。
怒り心頭である。
私はすぐさまインターネットを調べ、退職方法を模索した。
当時、高校生。正社員どころかアルバイトも未経験だった子供が、毎日Googleで『退職 強制』と調べていたと思うと恐ろしい事実である。
とにかく、当時の私がわかったことは
- 退職届を提出すること
- 退職届は2週間で効力をもつこと
であった。
私はすぐさま父親に相談し、煮え切らない父親に「母親の命と稼ぎ、どっちが大事なんだ!」と叱りつけ(今思うとやばい子供である)すぐさま母親に退職届を提出させた。
そして当然のごとく退職届を受理してくれなかった会社に『内容証明郵便』が効くというのはこのころ知った話だった。
仕事を続けることは大切だけども……
個人的に、仕事を続けることはすごいことだと思う。私は転職回数もおおく、経験した職種も多いが長く続いたためしがない。
現時点で半年続いているものすら少ない。そのため仕事を長年続けている人は純粋にすごいと思っている。
しかし、それは精神の平穏があってこその話だ。
自分の体や精神が仕事より大事なことなどありはしない。
もし、ブラック企業に入社してしまったら、退職を視野にいれたほうがよいことを、どこかで覚えておいてほしい。
余談だが、母は現在、めちゃくちゃ元気だ。
当時を振り返っていうことは
「あの時、一緒に映画みたの楽しかったわ。ハリーポッターはよかったわねぇ」
という感想になっている。
ただ、事務所があった地域には決して近づこうとしない。
トラウマができてしまったようだ。