私は雑兵

社内ニートが自律神経と戦っています。

【その他】ウサギで解決できるのか

無敵の人が流行っている。
なんだ、巷にはそんなにマリオのスターであふれかえっているのか。しかし、任天堂よりSONY派の親に育てられた私には配管工のスターはなじみがない。クラッシュバンディクーのアクアク三つ。うん、しっくりくる。

 

無敵の人、という言葉の定義は何も失うものがない人、という意味のようだ。その定義であれば記憶がある、私も一時期、無敵の人であった。

 

職なし、彼氏なし、いいとこなし。なし、の三拍子でダラダラとしていた私はあるとき気が付いてしまったのだ。
「そうだ、人生は自己責任の範疇で人に迷惑をかけなければどうにかなるのだ」
それが天啓だったのか、はてまた目の前で衰え、死に絶えた祖父を見てそう思ったのかは謎であった。そのときから私は鎖の繋がれていない犬になった。

 

仕事はすぐに決まった。倉庫作業員である。軽作業、って書いてあるのに全然軽くない段ボールを運びながら、コンビニで売られている雑貨を詰め歩いた。決められた商品を決められた数だけ封入すればいい簡単なお仕事。時給は安くも高くもない。週休三日で十分な金額が得られる。友人と飲み歩き、バイクを乗り回し、モルモットをなでながらなんてすばらしい人生だろうと汗を流した。確かにあの時、私は失うものがない無敵の人であったに違いない。

 

では、この度ニュースで騒がれている無敵の人はどうか。
彼らのどこが無敵なのであろうか。確かに、失うものはなにもないかもしれない。けれど、彼らは常に何かに怯えていたはずだ。私のように天啓を受けることも、誰かにその辛さを理解してもらうこともなかったはずだ。どこかで、彼らがガス抜きをできていれば。また結果は違ったかもしれない。

 

彼らは無敵なんかではない。堂々と胸を張り、肩で風を切っているわけではないのだ。何かに怯え、いつだって破裂思想な自尊心と戦っている。
無敵の人で、果たしてこのニュースを片付けてよいのだろうか。ウサギを与えれば一様に事件はおさまるのか。はてまた疑問である。

 

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